神鳥の卵 第16話


「ない!それは絶対にない!」

その話を聞いたスザクは、ゼロの衣装を脱ぎながら断言した。

「C.C.がルルーシュを一番理解しているなんて、絶対ないからね!!」

スザクが脱いだマントを受け取った咲世子は、あまりにも力強く言い切るスザクに首を傾げた。C.C.は黒の騎士団結成前からルルーシュと共にいた人物で、寝室も一緒だった時点で男女の仲も確定しているルルーシュの恋人だ(スザクとルルーシュはは否定したが、C.C.はゼロの愛人だと認めている)そんなC.C.が誰よりもルルーシュを理解しているのは当たり前のことだと思っている。
だが、それらの事は全て無視し、スザクは否定した。

「なんだ、羨ましいのか枢木スザク」

にやりと勝者の笑みを浮かべながらC.C.はピザを口にした。勝利の美酒、いや勝利のピザは美味いな。と、とろりと溶けたチーズを口に含むC.C.の姿は雄を刺激しそうなものだが、スザクには不愉快な姿にしか映っていないようだった。

「羨ましいも何もないよ。僕は君よりもルルーシュを理解しているし、僕なら100%ルルーシュの言葉を理解できる。もちろん、君よりも完璧にね」
「・・・言ったな?私に勝てると本気で思っているのかお前」

バチバチと火花をちらし始めた二人をそのままに、咲世子はゼロ服の洗濯を始めた。



「なるほど、そういうことですか。その結果が、これな訳ですね」

よーくわかりました。
ロイドは冷え冷えとした視線で見つめながら、感情のこもらない声でいった。
腕を組み立っているロイドの前には正座をした二人。
セシルに言われて大人しくそこに座っているスザクとC.C.だった。
日本式の謝罪の姿勢で結構足に負担がかかるという事は知っているロイドは、当然ですよねその格好はという眼で見つめていた。

「えと、あの、ロイドさん、ルルーシュは」
「陛下はおそらく疲労からくる発熱ですよ。いまセシルくんと咲世子さんが見てますので、お二人は近寄らないでくださいね」

ただの発熱。
その言葉に元死神と魔女は安堵の息を吐いた。

「何安心してるんですか、赤ん坊の熱は怖いんですよ。それに陛下のお体は普通じゃないんです。病院にだって行けないですし、普通の薬が効くかもわからない。不死ではない以上、ちょっとしたことで命を落としかねないんですからね」

そんな陛下をあなた達の喧嘩に付き合わせるなんて馬鹿ですね。と、言い捨ててロイドはルルーシュの休んでいる寝室へ移動した。
残されたのはスザクとC.C.。
扉が閉まると同時に、二人はじろりと視線だけ相手に向けた。

「君が無理をさせるから」
「私が悪いのか?お前が認めないのが原因だろう」

バチバチと二人は火花を散らす。
事の発端は、ルルーシュの声にならない言葉をどれだけ正確に理解できるかという話から始まった。
ロイドとセシルはかなり誤認識があり、理解度は50%といったところだろう。咲世子はランペルージ家に仕えていたことで精度は上がるのだが、持ち前の天然が発揮されるとその精度ががっくりと下がる。だから振り幅が大きく理解度80%~30%といったところだろう。
では、スザクとC.C.は。
互いに完璧だと言いはる二人は、ルルーシュを巻き込んでどちらが上かを競い始めた。精度を確かめるのだらかルルーシュの参加は強制。体力馬鹿の元皇帝の騎士と、不老不死の魔女という体力に底が見えない二人が、自分たちが納得できる結果を見るまで闘う姿勢でルルーシュを巻き込めば、体力が残念賞なルルーシュ、しかも更に体力のない赤ん坊の身体では耐えきれるわけもなく、気がついたら真っ青な顔をしてぐったりと意識を無くしていたのだ。
あんな無理をさせてしまったのは、こいつが認めないからだ。
互いに相手が悪いと睨みつけていると、セシルが部屋から出てきた。未だに正座をしている二人に、今お茶を入れますからソファーに座ってくださいと促した。

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